パソナグループではこれまで、多くの新会社が誕生し、また、これからも新会社がどんどん設立されていくでしょう。
会社を立ち上げるときに大切なのは、今の想い、目的、なぜ会社を作ったかということを石に刻むように、鉄を打つように忘れないことです。
企業というのは、時間の経過とともに設立当初の目的が変化していきます。しかし、業態が変わり、組織が変わり、どんなに大きくなっても、なぜ起業したのかという創業精神と、その志は変えてはいけません。
5年、10年、20年経つと会社は大きくなるかもしれません。
すると、何百人、何千人という人たちが周りに集まってきて、周りの人たちの意志によって振り回されてしまうことがあります。特に知恵のある人が入ってくると、創業者の意思が変わるのではなく、周りの意思に影響を受けてしまうことがあります。
最初は、一人ひとりの人生を豊かにし、老若男女のライフスタイルにあったサービスを提供したいと思って会社を立ち上げたとしても、いつしか、数字が力を持ち始めて、もっと数字を大きくしたいと思い始める。
人間は欲望の塊だから、欲は我が身を滅ぼしていく。たとえば、部下に無理強いをし始めたり、高い数字の目標を掲げ、志が変化してくる。そしていつか世の中の変化に対応できなくなり、失敗します。
そして、人間というものは、その失敗をすぐ取り繕おうとする。実は、会社が滅んでいくとき、業界の中の敵と戦って負けるのではなくて、内部崩壊で負けることのほうが多いのです。
だから、設立の時こそ、「最初の志を石に刻め」と話しています。