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更新日 : 2020年11月03日

「免疫力向上!食の力セミナー」を9月18日開催しました

今、自分にできることを考え、備えるための「免疫力向上!『食の力』セミナー」が9月18日、リアルとオンラインのハイブリッド方式で開かれました。

新型コロナウイルス感染予防のために、手洗い・うがいを励行し、三密を避けることはもとより、免疫力を高め身体の内側から予防することも大切です。そこでこのたび「健康な心と身体は食にあり、今こそ『食の力』が私の未来を創る」というテーマで、一般社団法人メディカルライス協会 渡邊昌理事長にご講演いただきました。


渡邊先生は、慶応大学医学部大学院を卒業され、病理学を専攻。アメリカ国立がん研究所研究員を経て、国立がんセンター研究所がん情報研究部長のときに糖尿病を患われ、食事の重要性を体感されました。その後、東京農業大学教授、国立健康・栄養研究所理事長、(社)生命科学振興会理事長などを歴任され、現在、メディカルライス協会の理事長を務められています。

 

講演タイトルは「健康な社員つくりは企業発展の基」。

まず、医療費はどのように使われているかの解説がありました。そしてお金のかかる病気の代表として腎不全、肥満、認知症があり、多くの人は腎臓透析や認知症の心配は、はるか遠い先と思っているかもしれませんが、中年期の健康を保つという姿勢が、そのまま老後の健康に大きく関係してくるそうです。では、どうしたらよいのでしょうか。

<天井知らずの医療費増>
「医療費は年間40兆円を超え、介護を含めると50兆円~60兆円に近づいている。70歳以上の人が半分を使っているが、医療費を削減するためには『未病を治す』という発想が大事である。
健康診断の検査値に、異常と自覚症状の両方なければ健康体であり、両方あれば病気。そして、どちらか片方だけの人を『未病』と言う。たとえばメタボリックシンドロームは血圧が高い、血糖値が高い、脂質がおかしいけれど、本人は健康だと感じている。あるいは健康診断の数値は正常でも、軽い鬱気味、眠れない。こうした状態も未病である。」

 

「日本の予防医学では、未病は『病気に進んでいく』と考えているので薬を使い始めるが、未病はすべて健康に戻れる『治未病』と考えれば、患者は3分の1に減り、医療費も3分の1に減らすことができるると予測される。
中国では治未病のための1000床クラスの病院が全国に6つ程あるが、日本にはない。そこでは食事療法、運動療法、温泉療法、心身症、自然療法をやっている。」

 

「では、未病の人はどうすれば健康体に戻れるか食(玄米菜食)、体(動く)、こころ(ゆっくりとした呼吸)に気を付け、生きがいを持っていれば健康体に戻ることができる
日本は、病人は医療で治すという考えで、『病気』を治すことに注力しすぎて、『病人』を治す発想が後にあり、薬が増えすぎる傾向がある。食事療法と組み合わせてやっていくことでと初めて効果があがる。」

 

渡邊先生は、50歳ごろに糖尿病を発症し約30年たち、ほとんど薬を使わず、食事と運動でおさえていらっしゃる経験から、「食で医療費は10兆円減らせる」ということを提唱しておられます。

 

<未病を治すためには>
「病気にならないように健康に生きるためにはどうしたらよいか。まずは、食事に気を付けること。玄米菜食はブドウ糖の吸収がゆるやかで肥満予防につながり、ひいては糖尿病予防となる。さらに抗酸化作用があるのでガン予防にも有効と言われているだけでなく、GABAやフェルラ酸が豊富なので認知症予防に効果的。味付けを薄味にし、運動をすれば、高血圧予防にもなる。」

 

「また、腎不全予防には低たんぱく食が有効だ。実は、腎臓機能が衰え透析治療を受けている人は全国に約30万人もいる。加齢によっても引き起こされ、毎年約3万人が新規発生している。しかもそのうちの3分の1は糖尿病と合併症をおこし腎症を引き起こしている。
腎機能には高たんぱく食が関係していることは明らかで、低たんぱく食にしても筋肉が弱るサルコペニアにならないということもわかっている。また、アルツハイマー病の予防と治療のためにも低たんぱくにすることは効果的なため、玄米を推奨する。
健康診断の結果を見てeGFRが60以下ならたんぱく質をとりすぎるのをやめること。牛肉より鶏肉、魚、それよりもっとよい納豆や豆腐にすれば腎機能がさらにもつことがわかっている。」

 

渡邊先生は、昨年、低たんぱく玄米を開発されました。日本人は、コメとおかずからたんぱく質を30グラムずつ摂っているため、お米のたんぱくを減らせばコントロールしやすいと言えます。
玄米は、実は完全栄養食といわれるほど機能性が高く、咀嚼機能が高まり、便秘を解消し、腹持ちがいいので過食と肥満が防げるそうです。
渡邊先生が中心になって、医学者、臨床医、栄養士、研究員11名が集まって玄米の機能性を医学的知見から明らかにした本も出版されています。

 

<地球環境を意識した食>
生活習慣病で寝たきりにならないようにしたいものですが、寝たきりになる人はほとんどが肥満からの糖尿病、高血圧、がんが原因で、日頃BMIをチェックしておくことが必要です。BMIは体重kg÷身長m÷身長mですぐに数値が出せます。23、24がよく、25から上は要注意。女性は18以下は用心しなくてはならず、痩せすぎていても太りすぎていてもよくないということでした。

 

食事の基本は、主食(玄米)、一汁、主菜、副菜のパターンで、「孫は優しい=ま(豆)ご(ゴマ)わ(わかめ)や(野菜)さ(魚)し(しいたけ)い(芋)」を取り入れるようにし、地球環境を意識した食事を考えていこうとお話されました。

健康であることは素晴らしい財産正しい食事療法で、未病も健康に戻る
食事と運動で自分の体力を高めて、コロナが来ても平気だという基礎体力を養っていきたい。」

「ポストコロナの社会は、まだどうなるかわからない。今までの発想は捨てて、持続性のある地域社会をゼロから考えたらどうか。そうすれば、次に大災害がきたときには、そうした社会が生き残るかもしれない。これからはいかにサバイバルを図るかということを一緒に考えていきたい。
一人ひとりが、健康を守る食の安全にもっと関心を持てば、社会全体が変わる。『未来の食卓への旅』はこれからも続いていく。」
と結ばれました。

 

*2020年10月30日現在の情報です。

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